メトロノームを使った練習について、いろいろな角度からお話ししてきました。特に、”重さのあるリズム”という、音楽上の非常識には、困惑した人も多かったかもしれません。
この最終話では、重さのあるリズムの習得や、残された課題についてお話しします。
スペイン人の現状
「メトロノーム② スペイン人のノリを可視化」で紹介した音源では、重さのあるリズムが終始使われています。しかし、スペイン人の行うフラメンコの、全てが同様というわけではありません。
・重さのあるリズムを、常に使うスペイン人
・重さのあるリズムを、部分的に使うスペイン人
・重さのあるリズムを、全く使えないスペイン人
・重さのあるリズムを、誰かに反応して一緒に使えるスペイン人
フラメンコの本家であるスペイン人たちがこのような状況なので、外国人である私たち日本人がどのように使いこなすか…この答えを得ることは現実的ではないかもしれません。
重さのあるリズムの習得
2020年現在、重さのあるリズムを使いこなせる日本人は非常に少ないですが、日本のフラメンコ界のリズムは少しずつ確実に進歩しています。
重さのあるリズムと普通のリズムの違いがわかる
↓
共演者の行っている、重さのあるリズムに反応できる
↓
重さのあるリズムを、自力で表現できる
↓
周囲が違うリズムでも、自分から重さのあるリズムを表現できる
このような段階を経て、重さのあるリズムを使いこなせる人が増えていくでしょう。
残された問題点
「メトロノーム② スペイン人のノリを可視化」に載せた図を、再度ここに載せます。
重さのあるブレリアのリズムは、通常メトロノームと比較すると、①③⑤拍目が早く始まっています(⑫②④拍目が短い)。ここに、大きなパラドックスがあります。
たとえば、踊りやギターのリズムパターンが次のようなものだった場合を考えてみましょう。
カウント ⑫ ① ② ③ ④ ⑤
リズム ●・・・・・●・・・・・
これに対して、もっとも合うパルマは、次のような叩き方になります。
カウント ⑫ ① ② ③ ④ ⑤
パルマ ● ○ ○ ● ○ ○
足 ▽ ▽
⑫~③拍目は3拍子、③~⑥拍目も3拍子ですから、これは単純な3拍子です。
これに対して、①③⑤拍目に早めのパルマを叩くと、⑫~③拍目は”短長短”、③~⑥拍目は”長短長”となり、2つ続く3拍子の長さが変わってしまいます。
こういった場面では、フラメンコモード6B、12A~Dなどよりも、単純な3拍子に近い、3Aの方が自然なノリを作ることができます。
3Aのリズムについては、下の動画を参考にして下さい。
どの場面でどちらのリズムを選んでパルマを叩くかは、人それぞれの感性によるところが大きいので、”万人がこうすべき”と1つに決めることはできません。
”自分なりに最良と思う形”で良いと思います。 それと同時に、他の共演者がどんなリズムを出しているか感じられると良いでしょう。
まとめ
メトロノームを使った練習を、ここにまとめておきます。( )内は、MRC1のモード設定です。
1.エスコビージャ、マルカール、レマーテの全てに対して、メトロノームの細かいリズムを鳴らして、リズムの精度を上げる(通常メトロノームモード)
2.エスコビージャとマルカールは、重さのあるリズムでゆったりと行えるように練習する(フラメンコモード)
3.重さのあるリズムを使い分けて、レマーテとの差を出せるようにする(フラメンコモード)
これらは、踊り・歌・ギター・パルマ・カホンなど、全てのことに対して言えることです。ハッキリとした成果が出るまで、しっかりと練習しましょう!
重さのあるリズムに興味を持ちながらも、自力での勉強が難しい場合は、お気軽にご相談下さい。
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